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技拓が出来る事、今考えている事

40年近くにわたって、永く米杉(ウェスタンレッドシダー通称:WRC)を愛し
木造にこだわり続けている技拓だからできることとは?

まず、「国産材の木材を使用をする」ということについて考えてみる。

日本の国土の約7割が森林です。世界有数の森林国でありながら
この森林を活かせていないのも事実です。
それは、その森林が「私有地」であること。国土の森林面積に対して、私有地は7割です。
私有地であれば、勝手に伐採などはできず、その森林管理者、いわゆる個人に任せられています。
森林管理者は、後継者不足、設備投資不足、
採算性のとれない産業となり衰退をしていく時代が、長く今も続いています。
国も個人も管理方法などを基盤から変えない限り日本の活かし資源は、
荒れ果てた負の資源となってしまいます。
林業の供給システムの再構築は、並大抵のものではないでしょう。
適正な管理をするための林業士の育成も急務。
日本の林業の若者の育成にも、是非とも何かしらの形で関わりたいと考えている技拓。

それらを見据えながら今日は、
先日行ったカナダ大使館で受講してきた「木」のお話をさせていただきますね。

「木」は、ご存知の通り、二酸化炭素を吸収して酸素を放出して、
生命維持に大切な栄養を与えてくれます。
太陽の恵みを得て、光合成を作り出し、酸素を排出してくれる「木」。
人の手で酸素を作るとなると、いろいろなエネルギーを使い
ゴミも出し続ければ出来ますが、それはかえって、地球に大きな負荷をかけることになる。
それが「木」は太陽の光と、水と、土で酸素を作り出せます。
二酸化炭素の化学式はCとO2です。
木が生育していく過程で、Cは、木の形を造り、O2が、空気中に放出されていきます。
すばらしい自然サイクルだと、このセミナーで感じることができました。
そして、この自然の恵みをカナダでは国の産業として、活かし国益として潤っています。

まず、「森林認証」としてカナダは国をあげて管理をしていえる。
この「森林認証」とは、責任を持って森林に戻し、持続可能な森林管理を徹底的におこなう事。
森に対しての計画図ができあがっています。
伐採計画、搬出方法、育成管理ももちろんですが、野生動物の行動にも配慮をしているそうです。
「立木残存法」という方法で、島ののように伐採をして
動物の行き来(孤立をなくす)を阻害しないようにしているそうです。

又、森林を元に戻すという考え方、
伐採前と同じ種を植え続け自然に合わせるという、それは誰に対しても負荷がかかりません。
すばらしいですね。
カナダの人々が地球環境を守ることを忘れない循環型の森林経営を続けている姿勢は、
カナダの国民すべてが自然の恵みに感謝をし
人間中心的ではなく、地球規模のグローバルな考え方を持っているのだと感じました。
カナダのように大きな敷地だからできるんだ!と思うのではなく、
参考にできるところを日本林業にも是非、役立ててほしいと思いました。

日本でも発展途上国の違法伐採による環境破壊、生態系破壊を起こしている国々からも、
安易に資源を供給し続けていることは、
環境破壊に荷担しているということも、合わせて知っておくべきだと思います。

カナダ、とくに林業の盛んなブリティッシュコロンビア州は、
森林保有量は8千万haあり、その内毎年収穫される量は、その内の約0.3%とか。
毎年、2億本の苗木を植え続けているそうです。
樹齢150年のWCRを伐採し、
そのエリアに再び戻って伐採をするには、約120~150年後だそうです。
それを考えても、広大な森林面積を保有していることが想像できます。
世界人類の一員として、考えなくてはいけない「CO2排出量」。
生産に要するエネルギー比較をしてみると、
木材を使用をするという事は、木材はエネルギー0で生育するため、
生産時にはアルミが73080Kw/Tonに対して木材は580Kw/Tonです。
製品が出来上がるCO2排出は、ダントツ優秀です。

そこで次は、ここに輸送時のCO2排出量についてはどう考えるか?が課題です。
この課題は、カーボンフィットプリント(温室効果ガス排出量)の数値が取り上げられるわけですが、
まず、カナダから日本に輸出する際には船を使用します。太平洋を横断してきます。
地産地消が最も理想形ではありますが、運搬手段の船を使用するいうことは、どうなるのか?
船による輸送はエネルギー使用量が、車の1/100という評価もあるようです。
船輸送は木材にかかわらず、いろいろな産業が使用をしている方法です。
これから世界をあげて、更なる基準ができていくでしょう。
TPPも、どうも前向きに進みそうです。
国内外を問わず、輸送時のCO2排出量は、もっと具体的にもっと厳しくなっていくのだと思います。

技拓の考えは、国内の林業が活性化され、重要な産業として又復活していくことを見守り、
またどこかお手伝いをしながら、地球上に生きる動植物に対して「感謝」をし、
いろいろな方向性で、資源を有効活用をしているカナダとも友好な関係のもと、
我らが愛するWRCを使い続けていきたいと、そう思わせてくれるセミナーでした。