家づくりは、俯瞰の心
家づくりのお打ち合わせをしていると、奥様からでるご要望。
それは、小さなお子様がいらっしゃる方に多いのが、
「家事をしながら、目の届くところで遊んでいてもらいたい」というもの。
ある意味女性として、当然のご要望かとおもいます。
雑誌などでも、子供を中心にした家のプランなども多く記載されています。
また、よく耳にするのが、子供の成長においての家づくりの考え方。
「頭がよくなる家づくり」「子供の心が育つ家づくり」「子供の才能は間取りが決める」
などなど、子供を中心としたタイトル本を見かけるので、多くの方の
関心ごとなのだと思います。
あえて言いますが、その時期は長い暮らしの中では、ほんのわずかな時期です。
本当に、家事をしながら目が行き届くことが、最大重要課題でしょうか?
要望が間違っているということでは、もちろんありません。
全体を俯瞰した見方をして考えているかどうか、ということ。
家づくりには、そういったものの見方が一つひとつ大切になります。
これからの時代、働き方改革も広がり、在宅勤務者も増えていくなど、
時代は、常に変わるのです。
そのためには余白要素は常に重要だと思うのです。
家は人とともに成長していきます。
家族というものは、長時間を家の中で過ごすことで
ついつい「過干渉」にもなりがちな環境が温存していますが、
過干渉は、夫婦であっても親子でであっても
何かしらのストレスを与えるもの。
逆に「個」が強調されすぎると、家というよりただの個室の集合体となってしまう。
小さなお子様のためと思って考えたプランが、将来的に「干渉」になるか「感じる」になるか。
それには「今」この時期だけに目を向けず、長い年月を過ごすであろう家の在り方を
俯瞰して考えるのは、プランを決定する際とても大切なことなのです。
空間のプランは簡単そうで、やはりプロの創り出す導線や間取りには絶妙なバランスがあるもの。
技拓では、設計者も営業も長い経験から、お客様へ判断について意見を申し上げることもあります。
それは長い目で見たときに、家族にとって、家にとって必要か否かを真剣に考えるからです。
家族が、それぞれの場所にいてもなんとなく「気配を感じる」距離感。
それでいて、「干渉」しすぎない余白の空間構成。
たとえば、さりげなく感じる程度の、
「お風呂場の気配」 「料理をする音」 「書斎から感じる動き」
「寝室での気配」 「リビングで遊ぶ声」
かならずしも、すべてが可視できる必要があるか否か。
子供に手がかかる時期は、ほんの数年です。
しかし家の寿命は、先が長い。
自分たちの最期を過ごす場所でもあるかもしれないし、
また子供たちの家族やセカンドオーナーが引き継ぐかもしれない。
それを3世代繰り返していけるように、技拓の家は考えたい。
一時的に、注意すべき時期の子供がいる場合、作りこむ空間でなく、撤去できるもので
その場を「しのぐ」のも大切な方法のひとつです。
「今」だけを見つめない、俯瞰の心に重きをおく。
これは、家づくりにおいて大切な役割でもあるのです。